仕事に対する向き合い方

認知症の高齢者に向き合う姿勢として、ユマニチュードというコミュニケーションケア技法が注目されている。この技法は介護現場だけでなく、医学や看護学を学ぶ大学のカリキュラムにも取り入れられ始めた。医師や看護師、介護職員などの専門職だけでなく、家族介護者でも研修を受ければ、実際の介護ケアに生かすことができる。
では、このユマニチュードとは何なのか。一見難しく考える人もいるかもしれないが、何も特別な資格を取得するわけではない。いつもの介護ケアなどの仕事に対する向き合い方を少し変えるだけだ。

まずユマニチュードを必要な技法の柱として、見ることが挙げられる。例えば着替えや排泄などのケア中に、介護職員が認知症の高齢者に対して自分の目を見るように促す。
これは、目を合わせることでコミュニケーションが始まるからだ。反応が薄い人でも、目を見て話し掛けるとうなずいたり、話をしてくれたりする。

次に触れるという点も、ユマニチュードの大事な柱の一つだ。手に意識を向け注意深く触れることで、相手のメッセージを受け取ることができる。
そして触れることを通して、会話が困難な人ともコミュニケーションが取れるようになる。例えば入浴のケアなどの際に、これから右手を洗いますね、膝が曲がりますか、などの言葉を動作ごとに添えることで、洗うことだけが目的ではなく、介護ケアを心地よく受けてもらえるようになる。
介護職員がさまざまな介護ケアを行う際には、このようにコミュニケーションを取ることで関係性を良好にし、円滑にケアが進むことが望まれる。